生成AIによる検索が広がるなかで、店舗側が気にしているのはAI検索で引用されるかでしょう。「自分の店が紹介されるのか」「そのとき何が引用されるのか」。GoogleのAIモードには回答の根拠を並べる引用元パネルがあり、そこを開けば実際に何が使われたかを数えられます。3業種7エリアで9回数えたところ、ビジネスプロフィールは20件か21件しか出てきませんでした。あわせてAIモード自身に根拠を聞き、挙がってきた出典を公式ヘルプで確認すると、3つの根拠のうち2つは引用元にそう書かれていませんでした。
AIモードは実際にどう店舗を出しているか
検証に使ったのは「新横浜の居酒屋おすすめ」という検索です。AIモードは店舗を3〜4のジャンルに分けて提示し、それぞれに地図とピンの色分けを添えてきました。
注目したのは、画面右側の引用元パネルです。AIモードは回答の根拠にしたページをここに並べます。従来の検索でこのクエリを引くと、上位に来るのは食べログやぐるなびのようなまとめサイトです。
しかし全件を数えると、内訳は違いました。
引用元パネルの中身を数えた
パネルの「すべて表示」を押すと、折りたたまれていた引用元がすべて出てきます。同じ検索を3回繰り返し、そのつど全件を数えました。
3回とも、Googleビジネスプロフィールがちょうど20件でした。
パネルにはこのほか、食べログ、ホットペッパーグルメ、ぐるなび、Retty、ヒトサラといったグルメメディアと、店舗の公式サイトやInstagramが並びます。こちらは回ごとに顔ぶれが変わりました。1回目はホットペッパーグルメが目立ち、2回目はISIZEやRetty、3回目はぐるなびが出てきます。一方でビジネスプロフィールの20という数は動きません。パネルに載る店舗自体も、24店舗のうち16店舗は3回とも登場しました。
業種とエリアを変えて9回数えた
居酒屋だけの現象かを確かめるため、歯医者と美容室でも同じことを行いました。エリアも毎回変えています。
| 検索 | ビジネスプロフィールの件数 |
|---|---|
| 居酒屋(新横浜)1回目 | 20件 |
| 居酒屋(新横浜)2回目 | 20件 |
| 居酒屋(新横浜)3回目 | 20件 |
| 歯医者(名古屋駅) | 20件 |
| 歯医者(梅田) | 20件 |
| 歯医者(兵庫駅) | 20件 |
| 美容室(博多駅) | 20件 |
| 美容室(札幌駅) | 21件 |
| 美容室(金沢駅) | 21件 |

9回のうち7回が20件、2回が21件でした。業種もエリアも変えているのに、AIモードの引用元に占めるこの枠だけは動きません。
一方、パネルに並ぶ引用元の総数は回ごとに違います。ポータルサイトやまとめ記事の数が変わっても、ビジネスプロフィールの枠は20か21のまま埋まっています。
並び順にも共通点があります。9回とも、パネルの前半にウェブサイトが並び、後半にビジネスプロフィールがまとまって置かれていました。両者が交互に混ざることはありません。ただし歯医者(兵庫駅)の回だけ、最後のプロフィールの後ろに予約サイトが1件ついていました。
実際の画面を業種別に並べます。タブで業種を切り替えられます。画像は文字が小さいため、クリックすると原寸で開きます。
変動するのはウェブサイト側です。歯医者の梅田では医院の公式サイトや「おすすめ10医院」型のまとめ記事、口コミサイトが多く並びました。逆に美容室の札幌駅ではごくわずかです。ここは検索のたびに件数も顔ぶれも入れ替わります。
結果として、ビジネスプロフィールが全体に占める割合は回ごとに変わります。割合は安定しませんが、件数のほうは20前後から動きません。パネルの構成を決めているのは比率ではなく、件数の枠だと考えられます。
さらに、本文に書かれた店舗の説明文と、引用元カードに表示されているビジネスプロフィールの説明文を照合すると、表現がほぼ一致していました。たとえば「もつ焼き じんべえ 新横浜店」の引用元カードには「新横浜駅徒歩4分!じんべえ 新横浜店 ◆完全個室完備 2名様から最大約30名様まで使える完全個室完備してます!」とあり、AIモードの本文はこれをそのまま要約した形になっています。
つまりAIモードが読んでいた材料の多くは、まとめサイトのランキングではなく、店舗が自分で登録したビジネスプロフィールの記述でした。
引用されるのはポータル、紹介されるのはプロフィール
ここで、引用元パネルと回答本文を分けて見る必要があります。パネルにはホットペッパービューティーや楽天ビューティが並びます。ところが本文で店舗が紹介されるとき、その見え方は違いました。
美容室3回分の回答で、本文に登場した店舗は15件。うち12件は評価、口コミ件数、業種、営業状況が付いたビジネスプロフィールのカードで表示されていました。残る3件は名前と説明だけのテキストです。


カードを開くと、写真、営業時間、サービスと料金、決済方法が並び、オンライン予約、ウェブサイト、ルート、電話のボタンが置かれています。ここに表示されているのは、いずれも店舗がビジネスプロフィールに登録した情報です。
整理すると、AIモードは2つの段階で違うものを使っています。
| 段階 | 主に使われるもの | 店舗から見た性質 |
|---|---|---|
| 探す(引用元パネル) | ポータルサイト、まとめ記事、口コミサイト | 掲載されるかは媒体側の判断による |
| 見せる(回答本文のカード) | ビジネスプロフィール | 記述内容を自分で管理できる |

読者が実際に触れるのは後者です。カードから予約や電話に進めるため、ポータルサイトを経由しない導線になっています。
従来、店舗を探すユーザーはポータルサイトを経由するのが普通でした。AIモードの画面では、ユーザーが最初に触れるのがビジネスプロフィールのカードで、そこから直接予約や電話に進めます。店舗が自分で書いた記述が、そのまま来店の入口になっているということです。
媒体が不要になるという話ではありません。引用元にはポータルサイトが並んでいますし、AIモードがそれらを読んでいるのは確かです。ただ、店舗側が手を入れられる範囲がどこかは、この画面を見るとはっきりします。掲載されるかどうかを媒体の判断に委ねる部分と、自分で書き換えられる部分は別のものです。
ジャンル分けは何を見ているか
AIモードは店舗をそのまま並べず、ジャンルに分けて提示します。美容室の3回では「髪質改善・大人女性向け」「メンズ特化」「半個室」「駅直結」といった見出しが自動で作られていました。

このAIモードの分類基準は、画面からは確認できません。ただし分類の手がかりになりうる情報(何が強みで、誰に向いていて、どんな設備があるか)は、いずれもビジネスプロフィールに書ける項目です。
実際に、カードに表示された説明文とAIモードの紹介文は内容が対応していました。プロフィールに書いていないことが紹介文に現れることはありません。
分類のアルゴリズムそのものは公開されていないため、断定はできません。ただ運用の実感として、「誰向けで、何が強みで、どんな設備があるか」が書かれている店舗ほど、AIモードの紹介文でも特徴が具体的に扱われているという手応えはあります。今回の観測でも、紹介文に出てくる要素はプロフィールに書かれている範囲に収まっていました。
逆に言えば、説明文が「地域密着で丁寧な施術を心がけています」のような、どの店舗にも当てはまる書き方だと、AIが読み取れる手がかりが増えません。カテゴリや属性の設定はもちろん、説明文で自店の特徴を具体的に書いておくことが、これまで以上に効いてくると考えています。
AIモードに分類の根拠を聞いた
次に、AIモード自身に「そのジャンル分けは何を基準にしているのか」と尋ねました。返ってきたのは、次の3点です。
- ビジネスプロフィールの属性には「事実に基づく属性」と「主観的な属性」があり、Googleが公式に区別している
- ローカル検索の「関連性」の判定には、ウェブ上の情報や口コミが考慮される
- 口コミのテキストをAIが解析し、店舗を特徴づけるキーワードを自動でタグ化している
これらの説明には、いずれも公式ヘルプのURLが添えられています。AIモードの自己申告としては、出典つきで筋が通って見えるものでした。
公式ドキュメントで裏を取った
挙げられた出典を実際に開いて確認しました。結果は3点中2点が、引用元の記述と食い違っていました。
1. 属性の区別(用語は違うが、区別自体はある)
AIモードは「事実に基づく属性」「主観的な属性」という用語をGoogleが公式に使っていると説明しました。出典として挙げられたビジネスの属性を管理するを確認すると、Google公式ヘルプにこの用語はありません。
ただし、区別する考え方そのものは書かれていました。同ページには「ビジネスに関する一部の属性は直接編集できますが、来店した顧客からの情報に基づいて自動的に入力される属性もあります」とあります。オーナーが設定できる属性と、Google側が自動で付ける属性が分かれている点は事実です。
この1点目は、用語が公式のものでないだけで、内容としては大きく外れていません。
2. 口コミがどの要素に置かれているか
AIモードは、口コミやウェブ上の情報が「関連性」の判定に使われると説明しました。
しかしGoogle公式のGoogle のローカル検索結果のランキングを改善するヒントを確認すると、ローカル検索の3要素は次のように定義されています。
| 要素 | 公式の定義 |
|---|---|
| 関連性 | 検索語句とビジネス プロフィールが合致する度合い |
| 距離 | 検索しているユーザーから各ビジネス拠点までの距離 |
| 知名度 | ビジネスがどれだけ広く知られているか |
なお第3の要素は、以前「視認性の高さ」と訳されていた時期があり、その表記で覚えている人もいます。現行の日本語版ヘルプでは「知名度」です。以下は現行表記に合わせます。
そして口コミについては、「クチコミ数が多く評価の高いビジネスは、ローカル検索結果のランキングが高くなります」という記述が、関連性ではなく知名度の項に置かれています。ビジネスにリンクしているウェブサイトの数も同様に、知名度を測る情報として挙げられています。
AIモードの説明は、知名度の要素を関連性の要素として説明していたことになります。
3. 口コミのキーワード自動タグ化(出典に記載なし)
3点目は、口コミをAIが解析してキーワードを自動抽出しているという説明です。出典としてGoogle マップでクチコミと評価を追加、編集、削除するが挙げられていました。
このページを開くと、内容は口コミの投稿方法、編集と削除、翻訳、オーナーからの返信、不適切な口コミの報告についての解説です。AI解析についての記述はありません。
Googleマップに口コミのキーワードボタンが表示されること自体は、画面で確認できます。ただしその仕組みを説明する公式ヘルプは、今回見つけられませんでした。少なくとも、AIモードが挙げたこのページは対応していません。
この検証から言えること
「関連性」と「知名度」の取り違えは施策を変える
2点目の食い違いは、用語の細かい話にとどまりません。口コミをどちらの要素と理解するかで、打つ手が変わります。
| 口コミ=関連性と理解した場合 | 口コミ=知名度と理解した場合(公式) | |
|---|---|---|
| 口コミに期待する働き | 検索語句との一致度を上げる | 店舗が広く知られている度合いを上げる |
| 検索語句との一致に効かせる手段 | 口コミに狙いのキーワードが含まれることを期待する | カテゴリ、属性、説明文などプロフィール側の記述を整える |
公式の整理では、検索語句との合致を担うのはプロフィール本体の記述で、口コミは知名度の要素に置かれています。
ビジネスプロフィールの枠は動かず、ウェブサイトの枠が入れ替わる
9回の観測で、ビジネスプロフィールは20件か21件に収まりました。変動したのはウェブサイト側で、件数も顔ぶれも回ごとに入れ替わっています。パネルには揺れる部分と揺れない部分があります。
店舗にとって手を入れられるのは、動かない側のビジネスプロフィールです。AIモードが店舗の特徴を説明するとき、その説明文は引用元カードに表示されたビジネスプロフィールの記述と一致していました。まとめサイトに載るかどうかは相手次第ですが、プロフィールの記述は自分で書けます。
ただしビジネスプロフィールのカテゴリや属性がどう使われているかは、画面からは確認できません。観測できたのは説明文の一致までです。
検証の限界
ここまでの内訳は、3つの業種、7つのエリアを合わせて9回観測した結果です。9回とも20件か21件に収まったことは確かですが、これがすべての業種・エリアに当てはまるかはわかりません。またAIモードが内部でどのようなアルゴリズムを使っているかは、Googleが公開していない以上、外から確かめる手段がありません。20前後という数が仕様として決まっているのか、現時点でたまたまそうなっているだけなのかも、外からは判断できません。なぜ美容室の2回だけ21件だったのかも、画面からは説明がつきません。
継続して観測し、傾向が変わるかどうかを追っていきます。
店舗の運用を見ていると、説明文が未記入のままだったり、開業時に書いたきり更新されていないプロフィールは珍しくありません。順位対策として口コミや投稿には手を入れても、説明文とカテゴリは後回しになりがちです。
今回の画面を見るかぎり、AIが店舗を紹介するときに使っているのは、その後回しにされている部分でした。順位以前に、AI検索で読める状態になっているかが問われはじめていると見ています。プロフィールを整える作業の位置づけは、これまでより前に来ると考えています。
AIモードを踏まえてビジネスプロフィールをどう運用するかについては、GoogleのAIモードとMEO対策で扱っています。
まとめ
- AIモードが挙げた3つの根拠のうち、2つは引用元の公式ヘルプにその記述がなかった
- 口コミと被リンクは、公式では「関連性」ではなく「知名度」の要素として説明されている
- 引用元パネルを展開して数えたところ、Googleビジネスプロフィールは9回とも20件か21件だった(居酒屋・歯医者・美容室の3業種、7エリア)
- 変動するのはウェブサイト側で、ビジネスプロフィールの件数はほとんど動かなかった
- 並び順も9回とも共通で、前半にウェブサイト、後半にビジネスプロフィールがまとまって置かれていた
- 出典URLが添えられていることと、出典にそう書かれていることは別の問題として扱う必要がある
生成AIの検索結果は今後も変わります。MEO TIMESでは、検索画面の観測と公式ドキュメントの確認をあわせて、その変化を継続して記録していきます。












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